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名古屋地方裁判所 昭和63年(わ)1678号 判決 1988年12月20日

本籍

三重県桑名郡多度町大字多度一〇〇一番地

住居

名古屋市中川区西日置二丁目一〇番一号 レインボー日置五〇三号

無職

伊関勝

大正一四年六月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官西本仁久出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市名東区照ケ丘二三〇番地の一所在の安田信託銀行藤ケ丘寮の管理人(ただし、昭和六一年六月ころまで)として勤務するかたわら、同市東区泉一丁目一五番二三号チサンマンション栄リバーパーク八〇一号「株式経済研究所太閤」(昭和六一年一一月以前は「なごや太閤」)に投資アドバイザーとして従事し報酬を得、更に継続して有価証券の売買を行うことにより所得を得ていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、右報酬及び株式売買益の全部を除外して借名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五九年分の実際の総所得金額が一三九五万〇六三一円であり、これに対する所得税額が三六七万四一〇〇円であるのに、所得税の確定申告期限である昭和六〇年三月一五日までに、名古屋市中村区太閤三丁目四番一号名古屋中村税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、昭和五九年分の所得税額三六七万四一〇〇円(別紙(1)脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六〇年分の実際の総所得金額が三四三一万一四二六円であり、これに対する所得税額が一四八三万九三〇〇円であるのに、昭和六一年三月一一日前記名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、給与一か所のみ申告不要で納付すべき所得税額はない旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、昭和六〇年分の正規の所得税額一四八三万九三〇〇円(別紙(2)脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六一年分の実際の総所得金額が六〇七三万九七五二円であり、これに対する所得税額が三〇九〇万六九〇〇円であるのに、昭和六二年三月一六日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号中川税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四九万八〇〇〇円であり、これに対する所得税額がなく、すでに源泉徴収された五万四五二五円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、昭和六一年分の正規の所得税額との差額三〇九六万一四〇〇円(別紙(3)脱税額計算書参照)を免れ

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目) (なお、以下の括弧のうち、甲または乙は検察官請求証拠等関係カード記載の分類を、これに続くアラビア数字は同カード記載の請求番号を示す。)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書八通(乙1から8まで)及び検察官に対する供述調書(乙9)

一  伊関登美子(甲6)、大野正枝(甲7)及び伊藤正一(甲8)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一二通(甲9から20まで)

判示第一の事実について

一  中川税務署長作成の証明書(甲1)

判示第二の事実について

一  名古屋中村税務署長作成の証明書(甲2)

一  中川税務署長作成の証明書(甲4)

判示第三の事実について

一  中川税務署長作成の証明書二通(甲3、5)

(法令の適用)

一  判示第一から第三までの各所為

いずれも所得税法二三八条一項

一  刑種の選択 所定刑中、いずれも懲役刑と罰金刑との併科

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、懲役刑について同法四七条本文、一〇条(最も重い第三の罪の刑に加重)、罰金刑について同法四八条二項

一  罰金の換刑留置 同法一八条

一  懲役刑の執行猶予 同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木之夫)

別紙(1)

<省略>

別紙(2)

<省略>

別紙(3)

<省略>

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